寒気がするほど優しい手招きに呼ばれたんだ。
冷え切った両足を引きずって
泣きそうになりながら
どうしても抗えなかったんだ、どうしても。
近づくほどに、まるで空気が抜けるように
虚しくて、億劫で、もう
その手が抱いてくれないなら
俺は一体、何の為に。
だから嫌だったんだ。
大嫌いだって思う事で自分の形を保っていたんだ。
大嫌いだって思う自分を支えにして。
憎んで欲しかったんだ。
それがこんなにも罪深いとは知らずに。
最初から全て分かっていたんだ。
もう引き返せない事も
もう引き返す積りも無かった事も。
君の憎悪に潰されるまで
シナリオは変わらない。
変わったのは自分だった。
俺は君の事をあまりにも知らな過ぎたんだ。